政府の「貯蓄から投資へ」の旗振りのもと、多くの国民が投資に夢中になっている。
それは’投資依存症’という依存症の一種だ。
アルコール依存症にしろ、麻薬依存症にしろ、覚醒剤依存症にしろ、一度罹患してしまうとその治療は極めて困難だ誰かが止めないと、日本中に投資依存症が広がり、バブル崩壊にともなって日本中に破産者があふれてしまう。
投資依存症の感染力はとても強く、いまの日本は投資依存症の「パンデミック」前夜まで来ている。
(本文より)「投資とギャンブルは違うものだ」と考えている人は多いだろう。
しかし、投資の本質はギャンブル以外の何ものでもない。
老後の生活資金を、NISAを使って投資信託で運用しようとしている人は、老後の生活資金を賭けて競馬や競輪をやっているのと同じだ。
投資の世界も競馬や競輪と同じで、結局はゼロサムゲームとなる。
お金が自動的に増えていくことはありえないからだ。
そのことを本書で解説しよう。
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政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成
政府も色々と事情があるとは思いますが「貯蓄から運用へ」という方針を掲げて、私たちに株式投資をするように推奨している風潮があるように思います。
その影響を私も受けていまして、この10年間は投資信託を中心に行なっているのが現状です、リーマンショックで手痛い失敗をしているにも拘らずです。
平成の世になってのバブル崩壊を経験してもいますが。
。
時が経つと忘れてしまうものなのですね。
本書でもかなりのページが割かれて説明されていますが、LINEで森永氏の名前を語った投資チャットを見たことがあります、文章がぎこちなかったのですぐにやめてしまいましたが、多くの方が被害に合われている様ですね。
それも森永氏によれば、人々が「投資依存症」になって快楽を求めているからの様です。
彼は現在の株式市場はバブルでいずれ弾ける、そして現在の為替水準は明らかに円安で(IMF報告では91円程度p182)あり、いずれ円高に向かうと明言しています、資産運用はすべきでなくデフレ時代と同じように「現金を保有する」ことを推奨しています、彼は今、資産形成で有利とされる「ドル建て投資商品」も全て売却してしまった様です。
色々と考えさせられる本でした。
そして少し私も投資行動を変えてみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・投資依存症にかかる人は確実に増えている、2024年1月に始まった新たな少額投資非課税制度(新NISA)をきっかけに、投資を始める個人の裾野が広がっている(p8)
・庶民が長期的に株価が上がると信じる理由として、1)政府が投資を推奨している、2)これまでの実績。
長期で考えたら投資をした方が有利だという理解は根本的に間違っている、お金が自動的に増えることはない、投資はギャンブルと同じゼロサムゲームである(p19)株式市場に投じたお金が増えたように見えるのは、1)格差の拡大、2)バブルである(p23)全ての会社(178万社)の平均株価が全く上がっていない状態でも、格差が拡大すれば平均株価(日経平均:255社)は上がる、平均株価は「勝ち組」の株価を平均している(p29)バブルとは、不当な価格でも、その値段で欲しい人がいれば高い値段がつくというメカニズムである(p37)バブルが発生する最大の理由が、人々が「今買っておけば、将来値上がりする」と思い込むこと(p40)
・現代の紙幣の裏付けとなっているのは「国債」である、イメージとしては、日銀は市場から国債を買って、その代金として紙幣を供給している、この意味は国債は「労働の塊」である(p23)
・ピケティによれば、資本の収益率(資本家が自分の金を増やすスピード)は、いつの時代(西暦0年から、現代に至るまで)も4-5%であり、これは経済成長率よりも常に大きい。
資本家は景気が良かろうと悪かろうと、自分が持つ金だけは確実に増やし続けてきた(p30)なぜそれができたのか、答えは、本来労働者に分配しなければならない付加価値を横取り、労働者から収奪したから(p32)
・株式の理論価格は、配当金の合計を金利で割ったものという非常にシンプルなものになる、経済学が教える「完全競争では利益はゼロになる」という法則を前提にすると、配当金もゼロ、つまり株式の価値はゼロになる(p57)しかし精算価値がある。
法人企業統計によれば、純資産857兆円、現預金295兆円、土地192兆円なので、純資産の57%が残存価値となる。
すると株価の34%が企業の精算価値となる。
例えば、現状の日経平均が38000円とすると、だいたい13000円くらいが本来の価値ということになる、ただしバブルが弾ける時には、ここで株価は下げ止まる保証はない(p59)
・ラスベガスの平均払い戻し率は、ルーレット:83%、スロットマシーン:93%と、他のギャンブル(競馬競輪:75%、サッカー:50%、宝くじ:45%)より高そうに見える、しかしこれは、1回の賭けで払い戻される比率である。
払い戻し率が80%としても、払戻金全てで賭けを10回続ければ払い戻し率は11%(=9割は胴元)となる(p64)
・現在金融庁のレバレッジ規制により25倍までと上限が課せられているが、4%値下がりしただけで全損となり、その時点で取引停止(=ロストカット)となる(p73)
・今後生成AIが社会を変え、巨大産業に育っていくという判断がされているが、私(筆者)はその見通し自体がバブルだと考えている、現状では生成AIが持つ創造性は人間に到底及ばない、ネット空間からのアイデアやキャラクター盗用とSNS型投資詐欺で著名人の映像や音声を作り出すことくらい、パクリと詐欺の片棒担ぎである(p113)
・ITバブルの時が79ヶ月、リーマンショックが59ヶ月でバブルは崩壊した、CAPEレシオ(利益を物価で割引いで実質化し、10年間の移動平均)が25倍を超える期間があるとバブルが崩壊するという景観があり、現状でCAPEレシオは30倍を大きく上まっており、その期間が120ヶ月続いている。
現状はバブルである以上に、それがいつ崩壊しても不思議ではない「満期」に来ている(p122)バフェット指数(株式時価総額をGDPで割ったもの)は適性が100%に対して、最近では200%を超えている(p124)
・分散投資をすると、株価が暴落した時の損失率(=損失額÷累積投資額)は、長期投資を続けた方が小さくなるが、損失の絶対額は長期に投資を続けた時のほうが大きくなる、これはギャンブルに共通する特徴で、長年ギャンブルを続けた人が抱える損失は、最近始めた人よりもほとんどの場合大きくなる(p129)
・これから起きる史上最大の暴落の後は、二度と株価が戻ってこない可能性が十分にある、それは資本主義が終わるから。
これまで暴落の後に株価が上がってきたのは、そこで新たなバブルが生まれたから。
今の株価は1929年の暴落の後から始まった100年バブルのピークと理解することもできる、バブルと資本主義はセットである、資本主義が終わればバブルは二度と発生しなくなる(p131)
・この数年の日本には、創業100年を迎える企業が非常に多かった、毎年2000社以上が100周年を迎えた、なぜか、100年ほど前に日本人のライフスタイルの大転換が起きたから。
庶民に「和洋折衷」という形で西洋文化を取り入れるライフスタイルの転換が起きた、明治維新で欧米化したのはエリートと富裕層だけで庶民は江戸時代からの暮らしを大正時代まで引っ張っていた(p132)今回のバブル崩壊以降に、100年前に起きたのと同じくらいのインパクトを持つ構造変化が起きると考えている(p133)
・立石電機の創業者、立石氏のSINIC(サイニック)理論によれば、科学・技術・社会の三者が相互に影響を及ぼしあって発展すると考え、それに基づいた未来シナリオを提示している。
1974年に始まる情報化社会を正確に予測、2005年からは「最適化社会」に大転換すると予言していた、最適化社会とは、全てのモノやヒトがインターネットに繋がり、個人の多様性なニーズが容易に満たされる社会のこと、そして2025年には経済社会が再び大きな構造転換を果たして最終的には「自律社会」に変わっていくだろうと予測している。
自律社会は、1)自立、2)連携、3)創造、の3本柱で構成される、孤立していたら生きられないので、自立と矛盾する連携が必要になる、そして自律社会に最も重要な構成要素は「創造」である、人工ロボットの発達で、定型的な仕事は全て人工知能とロボットがやり、人間の仕事は創造的な仕事しかなくなる(p134)
・マルクスの予言、資本主義が行き詰まる4つの理由、1)許容できないほどの格差、2)地球環境破壊、3)少子化、4)ブルシットジョブ(どうでも良い仕事)の蔓延(p138)
・IMFが2024年の世界経済見通しの中で明らかにしている、ドル:円の購買力平価は、1ドル=91円である。
現実の為替レートが購買力平価と大きく乖離する原因は「投機」である、為替市場で取引される通貨の99%以上は貿易に使う実需でなく、為替を対象とした投機だから。
それでも経済実態から離れ続けることができないので、長くても数年から十数年の間には、為替は購買力平価に戻っていく、だから今生じている過度な円安は、必ず購買力平価という本来の姿に修正されていく、なので外貨投資は今後の円安修正によって大幅な減価に見舞われることになる(p182)
・お金は自動的に増えない、お金が増えるのは、働いた時と他人から略奪した時だけ、略奪のパターンは、1)幸運に恵まれてギャンブルに勝つ、2)他人を騙してギャンブルに勝つ、3)胴元になる、つまり詐欺師か、金融業者になるしかない、だから庶民は余計な誘惑に駆られることなく、じっと預貯金を抱え続けるしかない(p183)
2024年9月11日読破
2024年9月12日作成